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LSD

爪を立ててくれないか

冷たいこの俺の鮫肌の奥まで

牙をむいてくれないか

乾いたこの俺の臓器の奥まで

 

覚めきった頭の片隅の方で

ぐるぐると渦巻いている時計の

針の音聞こえてくる声は

たぶん幻 どうか殺してくれ

 

朝靄の隙間に見えたペイズリーのお前と

空をオレンジに染めてこの俺の細胞

潰していくのが解る

透き通る血液まるでゼラチンの様に

針の先からこぼれだした欲望の中

鮮やかな理性が溢れていく

 

期待しないでくれないか

俺はもう何もしたくはないから

手首切り刻んでくれないか

痛みはすでに失っているから

 

爽やかな原野に佇んだボロボロのお前は

傾いた部屋に置かれたビー玉のように

転がるのを待っているのか

染み渡る髄液まるでLSDのように

彩りの欠けた澄み渡る青空のもと

壊れた理性が溢れていく

 

穏やかな吐き気の中に天使はいるのか

吸い込んだ麻薬口移しで与える

明け方はどうやら死ぬ前の目覚め

ああ ベイベー どんなに瞼見開いてみても

七色に光る注射針の輝きの中

笑いながら 死ぬのを待ってる

 

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